こちらのコーナーでは、佐渡裕への質問を受け付けておりましたが、休止させていた
   
きます。

    当コーナーでは、プライベートに関する質問の他、公演予定、公演依頼、チケット発
   売情報、については、回答は差し控えさせていただく旨、お願いしておりましたが、上
   記に該当する質問や個人的なご質問、ご意見などを寄せられるメールが非常に多く、

   
応に苦慮致しました結果ですのでご了承下さい。


                         
(2008.1.21 佐渡裕公式HP管理者)


  QUESTION
  Akiraさんから

 僕は指揮者にあこがれています。この間、合唱祭で指揮を振りました。2年連続にな
ります。しかし、合唱団がなかなか僕の思うような表現で歌ってくれませんでした。本
番は僕の思うような歌に近づきましたが、練習の時がとても大変でした。どのように合
唱団(オーケストラ)にしじをおくったらよいのですか?

 また、佐渡さんが指揮をするときに心掛ける事はなんですか?
  ANSWER
 
マエストロさどから

 Akiraさん、僕は合唱を指揮することが大好きです。なぜなら、合唱は誰もが持ってい
る楽器、声を使って音楽を作るからです。声ほど素晴らしい楽器はない。何しろ、自分の
楽器と身体が一緒だからです。

 当然のことですが、合唱の魅力はその声にあります。人の声に感動することってどんな
ことでしょう? よく「美しい声」と言ったりしますが、ただ美しくても弱々しいもので
は魅力はありません。「力強い声」というのは良いですね。民衆の力、人が発する声はと
ても魅力的ですが、これもただ強いだけでは、だんだん飽きてしまいます。

 僕が少しひっかかるのは、質問の中に「僕の思うような…」というくだりです。Akira
さんの思うようにする事が、いい合唱をすることでしょうか?  僕は、例えばベートー
ヴェンが、何を望んでいるのか、何をここで表現しようとしているのか、ということに頭
が一杯です。ここに、演奏者を納得させるあなたの想いがあれば、演奏者はやる気になり、
やる意義を感じ、それを実現しなければならない責任感を感じます。決して「僕の思うよ
うに」ではないのです。

 なぜなら、指揮者は自分自身が音を出すことは、実はまったく無いからです。演奏家を
やる気にさせる方法を、自分で見つけるというのがとても大事だと思います。厳しいよう
ですが、あなたのために合唱祭があるのではなく、あなたの指揮をしたい欲求のために、
音楽があるのではありません。

 もちろん、これは指揮者である僕自身への言葉でもあります。このことをよくよく自分
自身に言い聞かせ、指揮台に上がらなければ、大変多くの演奏者の方に失礼だと思います。

 指揮の勉強は大変です。だけれども、やり甲斐のあることです。自分自身のやり方を見
つけられるよう、頑張ってください。


  QUESTION
  S・Uさんから

 テレビで拝見して、なんてパワフルな指揮をされるのだろう! と感動しました。音楽
には、うとい自分ですが、好きなので、5年ほど前にフルートを買いました。独学なので、
まだまだ上達はしていません。なにか、お勧めのフルート練習曲はありますか?

 もし、思い当たる曲がありましたら、教えてください。(ほんとに初心者です。レベル
は低めでおねがいします。)
  ANSWER
  マエストロさどから

 僕の本格的な楽器の魅力との出会いは縦笛でした。それが得意だったから、その延長で
フルートを専門に学ぶことになりました。楽器に触っている、自分自身が音を生んでいる、
その感覚はとても幸せなものですね。

 だから、シエナ・ウインド・オーケストラとのコンサートで、いつも僕が言うように、
誰でも、いくつになっても、ぜひ素敵な楽器に出会って欲しいなと思っています。

 練習曲ですが、まずフルーティストが必ずやると言っていいのが、『アルテ』という、
フルート用の教則本です。管楽器なども売っている、大きめの楽譜屋さんに行かれたら、
必ずあるでしょう。この教則本を、焦らず、少しずつでも練習されれば、かなり目標を
はっきりと持てる、非常にきっちりした教則本だと思います。

 あと、アドバイスですが、僕は決して独学に反対ではありませんが、楽器を操ることは、
誰か先生がいた方が、進歩がはっきりとして、もっと楽しくなるのではと思います。月謝
の高さとか、いろいろあるとは思いますが、まるで友人を探すように、誰かいい先生に出
会われたらなぁと思います。


  QUESTION
  N・Uさんから

 最近、佐渡さんがバーンスタインに似てきた気がしますが、ご自分ではどう思われます
か??
  ANSWER
  マエストロさどから

 そうですか? 最近と言うのはどのあたりからなんでしょうねぇ? 実は、デビューし
た頃、当然と言えば当然ですが、多くの方から、いい意味でも悪い意味でも、「レニーに
似ている」と指摘を受けました。同時に「小澤にも似ている」と言われましたけれど、僕
にしてみれば、彼らのそばにいたのですから、似ていて当然かなと開き直っていました。

 だって、まねようと思ったことは一度も無く、まあ、考えてみれば、長嶋茂雄にバッ
ティングを習って、彼のフォームに似ていたとしたら、あるいは、タイガー・ウッズにゴ
ルフを習って、スイングが似てるとしても、決して恥ずかしいことではなく、僕としては、
とても光栄なことと思っています。

 確かに、自分の昔の映像を見ると、自分ではまねをしていないつもりでも、いたるとこ
ろで彼らのジェスチャーが見えます。今も、その面影があり、自分で自分の動きに関して
も、こっちは一応プロですから、「今、彼の特徴的な動きが入ってしまった!」と思うこ
ともあります。

 ですけど、どちらかと言うと、レニーが亡くなって14年目。ここ3年ぐらいの間に、
随分と自分らしい形が作れてきた気がしています。自分らしい形というのは、出来るだけ
「自由に」ということなので、曲目によってまったく違う指揮スタイルにもなるというこ
となのですが、例えば、曲目もレニーが指揮しなかった、ブルックナーの交響曲第3番を
取り上げたり、リヒャルト・シュトラウスの交響詩『英雄の生涯』を指揮したりと、自分
なりのレパートリーに取り組んでいます。

 ただし、日本ではなかなか時間が無く、そういったいろんな面の僕の指揮を見ていただ
くのは、兵庫のホール(※)が完成し、自分のオケを持った時かなぁと思います。

 これからも応援、よろしくお願いします。

※編者注:佐渡裕が芸術監督を務め、2005年秋に兵庫県西宮市にオープンする兵庫県立芸術文化センター
のこと。付属オーケストラも佐渡が音楽監督となり、現在結成準備を進めています。

 詳細は http://www.gcenter-hyogo.jp/ をご覧下さい。

  Onpu